品種改良された水産物はごくわずか

一方、水産物については、品種改良がほとんど普及していないのが現状です。
それ故、 養殖魚よりも天然魚が好まれる傾向があり、ブランド食材も産地や飼料による差別化が中心で、品種による差別化はほとんど行われていません。

一般的に、現在の品種改良法による新品種の開発は約30年を要します。
農産・畜産は1.2万年以上もの長い歴史がありますが、水産養殖の歴史は浅く、特に品種改良に必要な”完全養殖”という技術が登場してから、まだ50年程度しか経っていません。
つまり、
現在の品種改良技術では、水産物に品種改良が浸透するだけの十分な時間がなかったのです。

生産の歴史

しかし、優良な特性を持つ品種がやがて評価されるであろうことは歴史が証明しています。
例えばサーモンは、もともとは寄生虫問題から生で食べることができない魚種でしたが、品種改良に成功により生食が可能となったことで爆発的に私たちの暮らしに浸透しました。今や流通しているものの大半が品種改良されたものです。
同様に、品種改良された水産物が豊かな食生活の一端を担う未来が必ず来ることを、私たちは確信しています。